男性のシンボルでもあり、胸の筋肉でもある大胸筋はダンベルやバーベルを使って鍛えるのが一般的です。
しかし、大胸筋は腕立て伏せなどの自重トレーニングでも十分鍛えることができ、様々なメニューを組み合わせて取り組めば、大胸筋を効率よく発達させることが期待できます。
今回は、そんな大胸筋を効果的に鍛える自重トレーニングや、大胸筋の構造、大胸筋を鍛えるメリットなどについて詳しく解説していきます。
Contents
大胸筋の構造
大胸筋は上部・中部・下部の3つのパートで構成されています。それぞれの部位の機能や特徴について紹介します。
上部
大胸筋の上部は腕を斜め上に押し上げる役割を担っており、主に外転と呼ばれる動作で使われる筋肉です。
外転とは「腕を肩よりも上にあげる動き」のことであり、バンザイや背伸びなどで頭の上に腕を上げますが、これも外転になります。
大胸筋の3つの部位の中で最も鍛えやすく、発達すると上半身がより逞しく見えるようになるので、大胸筋上部を鍛えるトレーニングを覚えておくのがおすすめです。
中部
大胸筋の中部は腕を真上に押し上げる役割を担っており、腕を内側に向けるときに使われる筋肉です。
手のひら同士を合わせたり、胸の前で物を抱きかかえる動作だけでなく、スポーツの場面ではラケットやバッドを振るときにも使われています。
中部を鍛えることで胸板の見栄えをよくすることができますが、鍛えにくい部位でもあるので、意識してトレーニングを行う必要があります。
下部
大胸筋の下部は腕を斜め下方向に押し出す役割を担っており、主に内転と呼ばれる動作で使われる筋肉です。
大胸筋上部の外転とは反対で、「腕を肩よりも下にさげる動き」のことであり、地面を手で押して立ち上がるときに使われます。
下部は上部や中部よりも鍛えるのが難しく、トレーニング種目も少ないですが、鍛えることで大胸筋と腹筋の境目がはっきりするので、メリハリのある上半身を手に入れることができます。
大胸筋を鍛える4つのメリット
次に、大胸筋を鍛えることで得られるメリットについて紹介します。大胸筋を鍛えるメリットは、主に4つあります。
胸板が分厚くなる
大胸筋を鍛える最大のメリットが、分厚く男らしい胸板が手に入ることです。
大胸筋が発達すると胸板が分厚くなるので、上半身がカッコよくなり、Tシャツやスーツも似合うようになります。
大胸筋は女性が好きな男性の筋肉でも、常にランキング上位に入っているので、女性へのアピールポイントにもなるでしょう。
基礎代謝が向上する
基礎代謝とは何もしなくても自然と消費されるエネルギーのことです。
筋肉量が増えると基礎代謝が上がりますが、大胸筋は大きい筋肉に分類されるので、大胸筋を鍛えることで基礎代謝が効率よく向上します。
基礎代謝が向上すると、脂肪が燃焼されやすくなるので、太りにくく痩せやすい体質に変化します。
もしも基礎代謝を大幅にアップさせたい方は、大臀筋やハムストリングスなど、人体の中でも特に大きい筋肉を鍛えるのがおすすめです。
筋トレの質が高まる
大胸筋は三角筋や上腕三頭筋、上腕二頭筋など、肩回りの筋肉を鍛えるトレーニングで補助的に使われています。
大胸筋が強化されていると、これらの筋肉にしっかりと刺激を与えることができるので、スムーズな筋肥大に繋がります。
成果が現れやすい
大胸筋は皮下脂肪に覆われていないため、脂肪がつきにくいという特徴があります。
また、大きな面積を有していることもあり、大胸筋を上手く鍛えると効果的に筋肉をつけることができます。
このように、他の部位よりもトレーニングの成果が目に見えて現れやすいので、筋トレのモチベーションアップにも繋がるでしょう。
大胸筋を効果的に鍛える自重トレーニング9選
最後に、大胸筋を効果的に鍛えられる自重トレーニングのやり方とポイントについて紹介します。
①プッシュアップ
プッシュアップは大胸筋の自重トレーニングの基本であり、腕立て伏せとも呼ばれます。
動作はシンプルですが、意外とできない人も多いので、初心者はプッシュアップから始めてみましょう。
✓ポイント
・腰や背中を反らさない
・お尻を落とさない
・体はなるべく深く下ろす
✓セットの組み方
15~20回を1セットとする
3~5セットを目安に行う
インターバルを30秒ほどとる
②ナロープッシュアップ
ナロープッシュアップは手幅を狭くして行う腕立て伏せのことです。
腕の幅を狭めることで、大胸筋の内側だけでなく、上腕三頭筋にも負荷をかけることができます。
①腕立て伏せの姿勢を作る
②肩幅と同じか、それより少し狭く手幅をとる
③体を真っすぐキープする
④肘を曲げながら上体を下ろす
⑤深くまで下ろしたら、元の位置まで戻る
✓ポイント
・肘を伸ばしきらない
・正面を向く
・脚を広げない
✓セットの組み方
10~15回を1セットとする
3~5セットを目安に行う
インターバルを30秒ほどとる
③ワイドプッシュアップ
ワイドプッシュアップはかなり広い手幅で行う腕立て伏せのことです。
手幅を広げることで大胸筋が大きく動くため、より強い刺激を大胸筋に与えることができます。
①腕立て伏せの姿勢を作る
②肩幅よりも広く手幅をとる
④体を真っすぐキープする
④肘を曲げながら上体を下ろす
⑤深くまで下ろしたら、元の位置まで戻る
✓ポイント
・肘を外に広げない
・バランスを崩さない
・お腹に力を入れる
✓セットの組み方
10~15回を1セットとする
3~5セットを目安に行う
インターバルを30秒ほどとる
④サイドプッシュアップ
サイドプッシュアップは体を横向きにして行う腕立て伏せのことです。
片側のみで動作を繰り返すことになるので、大胸筋を意識しやすいというメリットがあります。
①横向きになり、体を一直線に保つ
②上側の手は地面に、下側の手は脇腹にそえる
③肘を伸ばしながら上体を持ち上げる
④元の位置まで上体を下ろす
✓ポイント
・肩を床につけない
・腕の力だけを使う
・背中を反らさない
✓セットの組み方
各15~20回を1セットとする
3~4セットを目安に行う
インターバルを30秒ほどとる
⑤ショルダータッププッシュアップ
ショルダータッププッシュアップは片手で肩をタッチする動作を加えた腕立て伏せのことです。
肩をタッチするときに体のバランスを保つ必要があるので、体幹も同時に鍛えることができます。
①腕立て伏せの姿勢を作る
②体を一直線にキープする
③肘を曲げながら上体を下ろす
④上体を起こすと同時に、右手で左肩をタッチする
⑤再び上体を起こすとき、左手で右肩をタッチする
✓ポイント
・テンポよく行う
・身体を傾けない
・背中を反らさない
✓セットの組み方
10~15回を1セットとする
3~5セットを目安に行う
インターバルを30秒ほどとる
⑥ヒンズープッシュアップ
ヒンズープッシュアップは手の幅を広げるだけでなく、体を前後に動かす動作も加えた腕立て伏せです。
大胸筋や上腕三頭筋、腹筋など上半身の筋肉を満遍なく鍛えることができます。
①腕立て伏せの姿勢を作り、両手を前に伸ばす
②手幅を肩幅よりも少し広げる
③お尻を高く突き上げて、「へ」の字を作る
④腕からお尻までを真っすぐキープする
⑤肘を曲げて、身体を床ギリギリまで下ろす
⑥元の姿勢に戻る
✓ポイント
・体全体を大きく動かす
・あまり反動を使わない
・目線は正面に向ける
✓セットの組み方
10~15回を1セットとする
3~5セットを目安に行う
インターバルを30秒ほどとる
⑦デクラインプッシュアップ
デクラインプッシュアップは椅子や台などに足を置いて、斜めの姿勢で行う腕立て伏せです。
腕立て伏せの中でも負荷がかなり高いので、通常のプッシュアップに慣れた後に行うのがおすすめです。
①両手を床につけ、手幅を肩幅よりも少し広めにとる
②椅子や台につま先を乗せる
③体を真っすぐキープする
④肘を曲げながら上体を下ろす
⑤深くまで下ろしたら、元の位置まで戻る
✓ポイント
・お尻を上げない
・顔を下に向けない
・椅子と体の角度は30度までに調整する
✓セットの組み方
10~15回を1セットとする
3~4セットを目安に行う
インターバルを30秒ほどとる
⑧スパイダーマンプッシュアップ
スパイダーマンプッシュアップは蜘蛛のように足の動きを加えた腕立て伏せのことです。
体を下げながら膝を肘に近づけることにより、大胸筋だけでなく、腹斜筋にも負荷をかけることが可能です。
①腕立て伏せの姿勢を作る
②体を真っすぐキープする
③上体を下ろすと同時に、膝を肘に近づける
④再び上体を下ろすとき、反対側の膝を肘に近づける
✓ポイント
・身体の軸を一直線にする
・お尻を下げない
・できるだけ肘と膝を近づける
✓セットの組み方
10~15回を1セットとする
3~5セットを目安に行う
インターバルを30秒ほどとる
⑨ディップス
ディップスは専用のスタンドや平行棒、椅子などにつかみ、体を浮かせた状態で深く沈み込むトレーニングです。
大胸筋の下部に大きな負荷をかけることができ、腕でバランスをとる必要もあるので、三角筋や広背筋にも効果があります。
①椅子や平行棒を用意して、両手で掴む
②体を持ち上げて、しっかり支える
③膝を軽く曲げて、両足をクロスさせる
④肘を曲げながら上体を下ろす
⑤肘が90度になるまで下ろしたら、元の位置まで戻る
✓ポイント
・体を軽く前傾させて行う
・腰より上に膝を上げない
・目線は斜め下に向ける
✓セットの組み方
10~15回を1セットとする
3~4セットを目安に行う
インターバルを1分ほどとる
自重トレーニングで自宅で大胸筋を追い込もう
今回は、大胸筋を鍛える自重トレーニングや大胸筋を鍛えるメリットについて紹介しました。
大胸筋を鍛える自重トレーニングは数多くあり、分厚い胸板を作るためには、複数のトレーニングを組み合わせて、上部・中部・下部を満遍なく鍛えることが大切です。
まずは基本の腕立て伏せから行い、慣れてきたら、負荷の高いトレーニングに挑戦してきましょう。
①両手を肩幅よりも少し広く開き、つま先を立てる
②頭からかかとまでを一直線にキープする
③肘を曲げながら上体を下ろす
④深くまで下ろしたら、元の位置まで戻る